おコメ博士の闇米日記

日本農業(特におコメ)について考えるブログです。

自然の力を引き出すとは何ぞや、という話

そういえば昔なにかと「なんぞや」という言葉を使う先生がいましたね。

 黒板と先生のイラスト

それはさておき、先日ツイッター界でこんなやりとりをしました。

で、そんなやりとりをさせてもらっていた中で、ふと重要な情報をまだ発信してなかったな、と気付いたので、今回はそれを書いてみます。

ツイッ種さんが書いている

自然の力を栽培に効果的に働かせる発想は原価低減の一手法として有望です。

という点について。自然の力を農業に利用する、とは一体どういうことだろう?という点です。

 

自然の力とは?

まず誤解されやすいトコロですが、自然の力をとりあえず作物の生命力農地の地力だと定義すると、どんな農業でも自然の力は働いている、と言えます。肥料がたくさん投入されてる土であれ、農薬がたくさん撒かれてる畑であれ。

問題はその程度。肥料がたくさん投入されることで根が伸びず養分の吸収効率が落ちたり、農薬がたくさん撒かれることで病害抵抗性が落ちることだったり。

言いたいのは、自然は1と0ではなく、肥料をまかなかったから自然であり、肥料をまいたから人工だ!という程シンプルではないということ。

世の中を善か悪かの二分割で整理することが難しいように、農業もグラデーションでできている、と思っています。

「グラデーション」の画像検索結果

それでもナンデモアリではないはずよ

それでも、上のグラデーションの絵で言えば左端と右端では「水色」と「青色」と違う色にみえるように、傾向はあると思っています。世の中のことも明確な善と悪はないにしても、善らしきもの、悪らしきもの、はあったりしますよね。

つまり、全部自然だから同じ、全部人口だから同じ、という訳ではなくて、やり方によって違う結果になるケースが多いよね。ということ。

ま、当たり前と言えば当たり前だけどね・・・。

僕は肥料いれていない=美味しい、とは全然おもっていなくて、農地の地力を大きく引き出したり、作物の生命力を引き出すことで、味が一般的な農作物と大きく違ってくる、と思ってますが、この点は人によって色々感じ方があるでしょう。

味は、やっぱり主観的要素が強いですからね。

ワインのテイスティングのイラスト(女性)

 

自然の力を引き出すとは?

さて、ちょっと話が抽象的になってしまったので、も少し具体的に考えてみます。

まず、1)地力を引き出す、ですが、これは割とシンプル。

例えば窒素でいうと、土に含まれてる窒素すべて(全窒素といいます)が地力を示すと考えられがちですが、窒素にも有機態窒素と無機態窒素の2つがあって、一般に前者は作物が吸収できない窒素と言われています。

で、一方の作物が吸収できる無機態窒素は、有機態窒素が微生物によって分解されてできるモノ

なので、全窒素が少ないと言われる土でも、微生物の活動を活性化させる等のなんらかの方法で、無機態窒素の量を増やせば地力を引き出すことになります。

農学的には、地力窒素の発現、と言ったりします。

 

次に、2)作物の生命力を引き出す、ですが、根が活性が高まって養分の吸収力が増えたり、作物が自分で養分を供給するシステムを構築する、等のことになってくるでしょう。

自分で養分を供給するシステムっていうのは、例えば共生微生物が代表的なもの。

作物が自分の根に微生物を住まわして、光合成産物などを与える代わりに、微生物からは窒素やリンなどをもらうことです。

自然界のように、土壌の養分が低い状態だと、この作物―微生物の共生関係が養分供給に重要な役割を果たしているよう。なので同様に、農業でもあえて土壌を低養分にすることで、この微生物の機能を高まることがあるようです。

以前こんな記事を書きました。

mroneofthem.hatenablog.com

 

そんな風に、自然の力を農業に利用する、ということは、土壌改良資材などを投入するとかそういうことではなく、土から供給される養分を高めることだったり、作物が低養分でも成長するシステムを構築させる、ということだと思っています。

ここらへんはまだまだ書きたいのですが、今回はこのへんで。

今度は1)の地力を引き出すために、シンプルで重要な「乾土効果」について書いてみようと思います。