おコメ博士の闇米日記

日本農業(特におコメ)について考えるブログです。

日本農業の相対評価【4-2】「地理と気候 中国編」

グローバルな目でみると地理や気候条件がその土地の農業に与える影響は計り知れないよ、ということで、前回は日本とアメリカとオーストラリアを比較する記事を書きました。

mroneofthem.hatenablog.com

そいで、これまでは外国産コシヒカリといえばアメリカやオーストラリアだったんですが、最近だと中国やベトナムやタイといった国々も参入してきてます。これが人件費やすいので安くつくれるのですよ・・・

つまり、グローバル経済になったらアジア勢も日本のライバルなんですね。

そこで、今回は台頭する中国と日本の地理と気候について比べてみました。

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中国―――

今やアメリカを超えて世界経済の覇者となろうとしている人口13億の大国。

人の数のみならず、その国土も日本の約25倍

広いゆえに乾燥帯・温帯・熱帯・寒帯と幅広い気候帯に属しています。

とはいえ、一般的なコメ所といえばもっぱら南部の温帯。

チンリン山脈とホワイ川を境に年降水量が1000mm以上になり、稲作に適した気候になるのです。

大体このへん。

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で、標高と長江と気温を基準にして更にこのエリアを五つに分けることができます。

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中央を走る赤線が標高500mmの等高線。

南のオレンジの線は、1月の平均気温が10℃の暖かいラインを示しています。

①は長江下流北側。畑作とも重なっていて、コメも小麦もとれます。日本でいうと北海道的イメージかな。

②は長江上流北側。四川料理で有名な四川があるトコロ。四川水稲地域と呼ばれます。

③は長江下流南側。コメも茶もとれます。日本でいうと静岡といったところ。

④は長江上流南側。南西水稲地域と呼ばれます。日本でも九州など南では二期作できますから、そのへんのイメージです。

⑤は水稲二期作エリア。暖かいので年二回とれる訳です。

といっても、これは大まかな水稲生産場所のイメージで、実際は中国の色んな所でおコメは作られています。以前日本が輸入したこともある吉林省中国東北部

ちなみに、中国人の友達いわく南より北のコメの方が美味しい、というのは中国人の多くが知る所だそう。日本でも割とそういう認識がありますから、似たようなものだと思います。

 

ジャポニカ米の生産

ところで、日本にとっては関心事であるジャポニカ米の生産は、東北三省華東地域雲南省がメインです。その中では、特に黒龍江省江蘇省の 2 省が約 6 割のシェアを占める等、ジャポニカ米生産が盛んです。

黒竜江省がココ。

黒竜江省の位置

それで、江蘇省がココです。

江蘇省の位置

 

黒竜江省は緯度が北海道と同じくらいなので、気候も似通ってきます。

↘は、黒竜江省ハルビン市にある通河市と北海道旭川市の雨温図を比較したもの。

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中国の方が気温がやや低く推移し、冬の積雪量が少ない、という違いはありますが、傾向はほぼ一致しています。雪が少なくもう少し肌寒い北海道とイメージすればいいでしょう。

 

一方の江蘇省は温暖。

↘は江蘇省南京市とだいたい同緯度の九州大分市を比べたものです。

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温度の推移はそう違いませんが、雨の降り方には違いがあります。

南京市は6月に300mm程度の雨がドシャッと降って、あとは8月9月に200mm程度。

一方の大分市は稲の栽培期間は100-200mmの範囲で経過しつつ、9月で400mm、10月で600mmと降ります。

といっても、南京市の夏は高温多湿で有名で、「中国の三大かまど」と呼ばれるほど不快とのこと。ケッペンの気候区分では南京も温帯湿潤気候に分類されますから、日本とよく類似した気象条件ということが言えます。

 

さて、そんなこんなでまとめますと、ジャポニカ米生産で日本のライバルになるオーストラリアやアメリカ、あるいは他の東南アジア諸国に比べズバリ中国の気候は日本とよく似ています。

特に黒竜江省などは大規模化を急速に進めてますから、最近の日本がやたらと規模拡大したがるのもこの中国の流れを意識してのことかもしれません。

似たような気候で、似たようなスケールで、似たような栽培を行った場合、どちらが有利に戦いを進められるのかは知る人ぞ知ることですが、、、高値で売れるし国内需要が増してきたジャポニカ米をビジネスチャンスとして捉える中国の人達が多いことは確かでしょう。また、それをサポートする日本人もいますからね。↘


中国での日本の稲作法人が現地での日本米栽培を始めました。

 

という訳で、今は日本ブランドのふわっとした綺麗なイメージでまだ先行者有利の恩恵を受けている日本ですが、農薬使用量のデータ等が開示されて実情が暴露されたりすると、なかなか厳しい戦いになるかもしれない、と思ったりするこの頃です。

ライバルとしての中国は、これからも必見になるでしょう。