おコメ博士の闇米日記

日本農業(特におコメ)について考えるブログです。

立憲民主党の日本農業へのスタンスは?

JAのウェブサイトに立憲民主党代表の枝野さんのインタビューが載っていました。

www.jacom.or.jp

農協が自民党の最大の支持母体と言われたのもはるか昔。

経産省内閣とも言われる現政権は農協解体を推進するなど、経済合理性の低い日本農業の改革に積極的に乗り出しており、結果いまでは農水省・農協・自民農林族は勢いづく現政権の横暴に眉をひそめています。

そして農協票の行方は、必然的に自民党から離れていることは確かですが、一体どこに向かっているのでしょうか。

その受け皿の一つの可能性が昨年立党した立憲民主党です。

では、立憲民主党代表の農業への捉え方は果たしてどのようなものか、インタビュー中における枝野さんの発言から推測していきたいと思います。

枝野「農業、農村をどう維持するかについて考えるとき、国土政策と経済政策を切り離して考えるべきです。」

枝野「農業は食料の安全保障であったり、地域政策、自然環境の保全であったりと、多面的な機能を持っていますが、自公政権では経済政策のみが取り上げられています。」

この点が、自民党に対する立憲民主党の対立軸です。

農地をビジネスとしてだけじゃなく、国土としてどう見るか、という視点ですね。

ただ農業の多面的な機能について、抽象的なアピールをしても”金”という具体的なものには弱いという印象は受けます。結果、”金”に押し切られてきた経緯があるためです。

枝野「国は、国際競争に耐えられる強い農業を目指すといっていますが、それは日本の農業全体のなかで、どれだけの地域で可能なのでしょうか。できるところはそれでもいいでしょうが、それ以外のところの農業はどうするのか。そのような地域の役割をしっかりと位置づける必要があります。」

確かに、国際競争力に耐えられる強い農業の確立は特定の地域(北海道など)や極一部の農業者に限られるでしょう。「財政が厳しいのだからそれはしょうがない」と考えるのが自民党、「いやそうではない」というのが立憲民主党という構図だと個人的に思っています。

枝野「農業には食料自給、農村・自然環境の保全など、お金に換算できない部分が多くあります。民主党政権の時代、この部分を支えるために戸別所得補償制度を設けました。それを安定・拡大することが社会全体の下支えとなり、結果的に食料自給率の向上、農村システム・自然環境の維持ができると考えました。

戸別保障制度などを通じて農家にお金を渡すことには、「そんな経済合理性のないものに税金を払うなんて無駄だ」という意見が多数あります。この意見にぶつける具体的な反論が必要です。社会保障の増大が避けられないこれからの日本において、あらゆる業界でコストカットが迫られます。迫られたときに論理的に説明できる証拠が必要だと思うのです。

枝野「むしろ自民党が切り捨てている地方の声をきちんと受け止める必要があると思っています。そうしないと日本が成り立たず、また都市住民にとっても、たしかに消費者としては安い農産物がほしいかも知れませんが、生活用水を供給する水源や森林、水害を防ぐ水田の保水力などを維持・確保する点で、大きなマイナスの影響があります。こうしたことは理解されつつありますが、まだ十分とは言えません。

景気が悪くなり、社会不安が広がれば、市民はお金を使わなくなり、安い農産物の買いに走ります。その安い農産物を買うコストが、長期的にみてどれくらいのマイナスなのかは実は誰もイメージできていません。このあたりが、構造的にリベラルが弱くなってしまう理由と感じます。今日よりも、来年のことを考えられる、というのは、ある種余裕のある人から可能だからです。

枝野多面的機能と経済性は両立しないと思います。こうした視点を前提に、農業政策は経済政策と食料政策を分ける必要があります。世界で競争できる農業は経済産業省で、そしてそれとは全く別の発想で食料・農業・農村政策を考えるということです。

このあたりの発現が、枝野さんがリアリティをもった政治家であることを示しているように思います。経産省の方向性はそのまま残し(無視することはできない)、違う視点でも農業をみる、という提案です。

谷口「その点で、経済効率を優先して1種類のものを大量に生産するということを反省する時期に入っています。バラエティに富んでいることでむしろ安定が得られるものです。人も社会も植物もそうだと思います。」  
枝野「大きな意味で地球が壊れているのではないでしょうか。100年、200年先のことではなく、すぐそこまできているのです。もっと多くの実例を示してアピールしなければならないと思います。」 

谷口「そのための世論を喚起するにはどうすべきでしょうか。具体的な働きかけを始めないと間に合わないのでは。

枝野「その通りですが、実際の解決策はグルーバルでないと効果が期待できないので、何をしていいか分からないのが実態ではないでしょうか。各地で、農作物が最近作れなくなったり、これまでにない被害がでたりする影響が身の周りで起きていますが、それは第1次産業の人が特に感じているはずです。こうした事例を関連づけてつなげると、世論として広がると思います。農水省環境省はこうしたデータをもっと発信していただきたい。

このやりとりは、世界における農業という視点ですね。

環境問題の深刻化が進めば進むほど、日本農業も環境問題に対しどう向き合っているのかが問われます。

経済合理性がないのだから、むしろ開き直って世界の農業課題を解決するような農業にチャレンジする姿勢が日本農業を正当化すると個人的には思いますが、リアリティの面ではまだ乖離があるでしょう。枝野さんのコメントにもあったように、農業や環境の専門分野から積極的に発信していくことが必要に思えてきています。

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と、そんなこんなで、今の時代となってみると農協と立憲民主党の相性はかなり良いのではという印象を受けます。本来保守だったはずの自民党がいつの間にか革新的スタンスになっており、リベラルと称されていた立憲民主党が日本の国土保全といった保守色ワードを使うようになっているのは面白いねじれです。