おコメ博士の闇米日記

日本農業(特におコメ)について考えるブログです。

どうすべき?獲れない田んぼの地力底上げ。【緑肥編】

農学部の学生時代、中古のオンボロワゴンアールを走らせ東北地方の様々な無肥料無農薬水田を調査していました。

(その時の論文はこちら↘ 当時は緑肥関連の調査はまったくしていませんでしたが・・・)

iwate-u.repo.nii.ac.jp

 

さて、どの水田も、肥料や農薬を使わず、稲の苗を植え、除草をし。。。という大まかにいえば同じ栽培方法をしている水田なので、一見似たような結果が出そうなものですが、実際はそれぞれの水田が見せる顔は様々です。

そして、生産者にとっては無視できない収量という点でも、2俵/反しか獲れない田んぼもあれば、8俵/反もとれる田んぼもあるくらい、水田により稲の生育反応も大きく違う訳です。

(地域によって収量差が大きいけど、その理由はなに?について書いた論文はコチラ↘)

www.jstage.jst.go.jp

 

言ってしまえば、稲の生育が悪いのもその田んぼの個性がもたらす結果と言えばそうなのですが、趣味の稲作ならまだしも、”農業”としての稲作なら「稲の生育は悪いけど、君は世界に一つだけの田んぼだ!」と言っている余裕はなかなかありません。

世界に一つだけの花

世界に一つだけの花

 

特に一般的な栽培(化学肥料を施肥して、除草剤や農薬を利用する方法)を繰り返してきた田んぼで、いきなり無肥料無農薬栽培をやったりすると、稲の生育がすこぶる悪い、というケースも少なくありません。

さて、そこで今回の記事では、稲の生育がすこぶる悪くて収穫量が見込めない水田をどのように改良すべきか?について、緑肥の利用という観点から考えてみようと思います。

ウチは一般的な栽培だからな~とお思いの皆さん!

緑肥には土壌の物理性・化学性・生物性を改善する働きがありますから、無肥料無農薬栽培や有機農業に限らず、様々な栽培方法に有効だと思われますよ。

 

緑肥とは

そもそも、緑肥とは何でしょうか?

緑肥とは、栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすき込み、後から栽培する作物の肥料とすること、またはそのための植物のことです。

 *1

と書かれているように、収穫目的ではなく土壌改良を目的に植えられる植物のことを指します。

例えば、水田では稲を収穫した9月から10月にかけて寂しくなった田んぼに緑肥の種を播き、翌年の春まで植物を生育させます。そして、冬を越え、田植えの1カ月前頃を目安に植物体をすべて土壌にすきこみ、土壌の性質を改善しよう、とするのが一般的です。

その昔、集落内で稲の生育が悪い水田では、山から運んだ有機物(落葉とか枯れ枝とか)を田んぼに入れたり、レンゲを播いたりしたそうですが、このレンゲが緑肥に当たります。

春先、↘のような綺麗な花を咲かせるので、じいちゃんばあちゃんにとっては「レンゲの花はキレイじゃったのう」と、良き思い出のよう。

f:id:mroneofthem:20180917123023j:plain

 

田んぼもイロイロ。緑肥もイロイロ。

さて、緑肥には大きく分けて二つの種類があります。

1つはレンゲ等のマメ科緑肥、もう1つはイタリアンライグラス等のイネ科緑肥です。

 

マメ科緑肥≫

まず、マメ科緑肥の最大の特徴は、根にできる根粒を居場所として増える根粒菌が、大気中に膨大にある窒素を固定することで土壌の窒素肥沃度を高めることにあります。

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落花生の根粒。ここで根粒菌が大気中の窒素を固定する。


その昔、マメ科緑肥としてはレンゲが有名でしたが、昨今ではヘアリーベッチというマメ科緑肥の研究報告も増えており(レンゲより窒素固定量が多く、稲の収量増の報告がある)、人気が高まってきています。

また、雑草としてよく見るシロクローバ等のクローバ等もコスパ的には良いようです。

マメ科緑肥として一押しされることが多いヘアリーベッチは、窒素固定の効果に限らず、

(1)土壌にすきこんだ後の分解速度に関係する植物体のCN比(炭素と窒素の割合)が10~11と低く、分解速度が速いことや、

(2)窒素に限らず菌根菌が着生することでリン酸吸収能が高まること、

(3)根が深く、土壌の排水性を改善する、

等の効果が期待できます。

 

≪イネ科緑肥≫

イネ科緑肥とは、その名の通りイネ科の緑肥のことですが、こちらはマメ科緑肥で期待できる窒素固定は基本的に期待できません。

しかし、例えばイネ科緑肥の一つであるイタリアンライグラスは、ただばら撒くだけで発芽するのでお手軽度が高く、すきこまれる有機物量も多いので、腐植を多くする効果が期待できます。

有機物である腐植が増えることは、微生物のエサが増えることを意味するので、土壌微生物の活動が活発になることが期待できるのです。

 

結局どの緑肥が1番いいの?

名探偵コナンはいつも「真実はいつも一つ!」と叫びますが、考慮すべきポイントが多く、状況依存性が高いと言われる農業では、絶対的正解はなかなかありません。

重要なことは、それぞれの水田に適した緑肥を選ぶことです。

一般的には、有機物が不足している土壌にはイネ科緑肥を、排水性が悪かったり窒素が極端に少ない場合はマメ科緑肥を、と判断することが多いですが、それもあくまでも一般的な事例に過ぎません。

個人的には、ヘアリーベッチやシロクローバ、レンゲ、イタリアンライグラス当たりを条件の近い水田で試してみて、成績をみつつ絞っていった方が合理的かなと考えています。

(田植え直前にすきこむと有機酸が発生して稲の生育が阻害される、なんてこともあるので、どのタイミングで、どのようにすきこむかも、重要なポイントだと思っています)

 

緑肥のコスト

緑肥の種子はホクレン雪印種苗タキイ種苗などの種苗会社が多くの種類を扱っています。楽天市場Amazon等のネット通販でも買えますが、農協が畜産農家向けに多くの種子を扱っているので、少なくとも私のエリアでは農協で買う場合が安く済むようです。

参考までに、農協で買った場合の代表的な緑肥の種子価格、推奨播種量、反当たりコストを紹介します。

 

【種子価格】

①レンゲ 1530円/kg

②シロクローバ 2360円/kg

ヘアリーベッチ 1200円/kg

④ライムギ 620~655円/kg

⑤イタリアンライグラス 800~1220円/kg

 

【推奨播種量】

①レンゲ 3~4kg/反

②シロクローバ 1kg/反

ヘアリーベッチ 3~5kg/反

④ライムギ 8~10kg/反

⑤イタリアンライグラス 4~5kg/反

 

【反当たりコスト】

①レンゲ 4590円/反

②シロクローバ 2350円/反

ヘアリーベッチ 6000円/反

④ライムギ 6550円/反

⑤イタリアンライグラス 6100円/反

まとめ

 一口に緑肥といっても、期待できる効果はそれぞれ違います。また、それぞれの農地によって、その緑肥の効果も同じではありません。

理想的なのは様々な緑肥を試しつつ、その農地に適した緑肥の播種量やすきこみの方法(そのまますきこんでも大丈夫か、刈って枯らしてからすきこんだ方が問題ないか等)を検討することではないでしょうか。

 

ちなみに、緑肥の基本的な知識を得るには、 Q&A方式で書かれているこちらの本がお勧めですよ。

緑肥作物 とことん活用読本

緑肥作物 とことん活用読本

 

 

 

ちょっと変わった自己啓発本『働き方完全無双』の読書感想

ひろゆき氏(@hiroyuki_ni)の著書「働き方 完全無双」を読んで、面白かったので感想です。

働き方 完全無双

働き方 完全無双

 

 

「起業」とか「副業」とか「多拠点生活」とか、はたまた政府まで「働き方改革」なんて意識高い言葉が飛び交ってる昨今の日本。

経産省の若手官僚が「不安な個人、立ちすくむ国家」なんてタイトルで資料↓を作るくらいなので、一般市民のみならず「昭和の人生スゴロク」(正社員終身雇用×結婚×子育て×年金)が成立しなくなるぞってのは年々リアルになってきています。

経済産業省 第20回 産業構造審議会総会 資料)

http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

 

とは言え、いきなり「会社をおこせ」とか「副業だ」と言われても、「なんだか暑苦しいしなぁ~」とか「ピンとこないなぁ~」って人におススメなのが、全然あつくるしくないこの本。軽井沢の気候並に、めっちゃ涼しい・・・。

ということで、本の中で刺さった文言別に、思ったことを書いてみます。

僕の考え方は、「最悪を想定しておくこと」が大前提になります。

超専門的な話から誹謗中傷まで、善意悪意が混在した幅広―い会話が自由に繰り広げられる2ちゃんねるの開設者ひろゆき氏だけあって、「性善説では物事を見ない」ってのが彼独特の感覚なんじゃないかと個人的に思っています。著書の中で「最悪を想定しておく」と書いてますしね。

確かにこれまでの日本社会はかなり性善説でやってきた気がします。

大人はちゃんとしてるし、会社はちゃんとしてるし、社会はちゃんとしてる。。。

だから黙って言うことを聞いてれば、それなりに幸せな生活を送れますよ、てのが昭和時代。

でも、今の時代はその前提が崩れてきてるかも?

新卒の就職先としては花形の「電通」でも、真面目な人ほど頑張り過ぎて過労死したり、日大では監督の言うことを真面目に聞いてたらとんでもないタックルをしちゃって大問題になっちゃったり、する時代ですからね。

だからひろゆき氏の基本スタンスは、時代や社会が変わったので考え方の前提を変えた方がいいよ、ってことだと思っています。

先進国で生まれた、あなた。残念でしたね。

という不穏な書き出しで始まるこの本。

「頑張れば道は開ける」的なスポ根価値観が未だに息づいている日本社会で、「能力なんてものは存在しない」と断言する意見は強烈です。

未だに「バブルがまた来ないかな」と呟いてる呑気なおじさんもいる中で、グローバルな経済の流れと先進諸国の状況をみて、沈んでゆく船の中でどうやって個人的に幸せになるか、を考えてるのがこの本の異色なトコロ。

日本の少子化問題についても

誰が政治家になっても、どんな賢い起業家が生まれても、この流れは止められない

と言い切り(受け取る人によってはとっても悲観的な意見に見えるでしょうね)、その事実は変えられないから少子化を前提に考えよう、というスタンスがひろゆき氏の考えのポジティブなトコロだと思っています。

「ゲーム」と割り切ればいい

っていう人生観はとても共感できました。ゲームって、自分次第でどんな状況でも設定できるんですよね。

例えば、僕の子供時代は遊戯王カードゲームが流行っていて、金持ちの子なんかは親に五千円以上のカード詰め合わせの箱を買ってもらったりしていました。

ところが、僕の家庭はカードゲームにお金は使わない主義だったため、まったく買ってもらえず。がびーん。いいカード全然手に入らないやん。。。

でも、「なんとかしてゲームには勝ちたい」という訳で、お金を使わずに強いカードデッキを作る、という個人的なゲームがスタートしていました。

で、よくよく友達を観察してみると、友達によってはカードの強さよりも、「キラキラしてる」「キャラクターがかっこいい」に価値を感じる人がいたり、一方で「見てくれはどうでもいいから使えるカード」に価値を感じる人、と様々なパターンがあることに気付く訳ですね。

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懐かしい遊戯王カード。負けるとカードを1枚とられるので、弱い段階では勝てそうな相手とだけ勝負するのが賢い戦略だった。

なので、実用性重視の友達から要らなくなった「見た目はいいけど弱い」カードをもらって、違う友達と「見た目は悪いけど強い」カードと交換するようにしていました。結果、トレードを繰り返すことでどんどんデッキが強くなっていく訳ですね。

結果、お金はかけずに十分遊戯王カードゲームを楽しめ、かつ自分のやりがい(「お金をかけずに強くなる」という自分のゲームを突破すること)を見つけることも出来た、という子供ながらの記憶があります。

ということもあって、なんでもゲームと捉え、難しい条件を突破するにはどうしたらいいか?を考えることを楽しめるひろゆき氏にはとても共感するのでした。

 やはり「地方」がコスパ最強?

都市の生活はお金を使うことが前提になってる気がしますが、地方は確かにお金をそこまで使わなくても生きていけます。

例えばいま僕が住んでる所は、限界集落のボローい家なので家賃はナント3000円。住む人が誰もいないので、タダでも住んでほしい勢いなのです。

そもそも今や日本全国空き家は増えてるので、大家さんとの交渉次第では僕みたいに1万円以下で貸してくれる物件も増えているはず。僕はサボり気味ですが、畑もついてるので野菜をつくることだってできます。

家賃以外の出費といえば、電気ガス光熱費(1万)、ネット(5000円)、ガソリン(5000円)、食費(3万)くらいなもので、自炊を頑張れば5万くらいで生活可能。

自分で野菜をつくったり、近所の人からもらったり、すれば尚更節約できます。

娯楽にしたって、アマゾンプライムに入っていればかなりの映画が見れるし、図書館で本をリクエスト購入したりすることも出来る訳ですね。

Amazonプライム・ビデオ

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ここの田舎だと、ベーシックインカム7万円導入されても十分生きていけますね。

もちろん田舎には田舎特有のやらなきゃいけないこと(草刈りとか)や不便なこと(家が古いとか)はあったりしますが、都市の蒸し暑い気候や人の多さ、高い生活コストと比べてどっちをとるか、って話なんじゃないでしょうか。個人的には東京の蒸し暑さとか満員電車の方がきついですね。

まとめ

そんなこんなで、「〇〇をやらなければ」的な不安を煽る系の自己啓発本が多い中で、具体的にこんな風に考え方を変えてみたら?ライフスタイルを見直してみたら?と、足元をみつめて書いてあるのがこの本の面白い点でした。

昨今のジリ貧な日本経済の状況を前提にしてるので、タメになる人も多いのではないでしょうか。

 

P.S.

ちなみにこの本は市立図書館で借りて読んだので、為になる他人の考え方を0円でインプットできた訳なのです。図書館万歳、ということですね。